2016/07/06

7月3日 宮崎から鹿児島へ備忘録

全身汗だらけで目覚めた。本当に暑い。車内に干してた洗濯物が湿度を上げて、さらに不快指数が高まって最悪だ。

今日は鹿児島まで行くつもりだけど、暑くて何もやる気が出ない。のろのろと日南をめぐり始める。





堀川橋の写真を撮っていたら、小学生くらいの男の子が自転車に乗って通り過ぎて、また戻ってきて、何を撮ってるのかと物珍しそうにこちらを見ている視線を感じた。

怪しいよね、こんな朝っぱらから写真撮ってたら。
寅さんの歌を口ずさみながら、車を走らせた。

人呼んで、フーテンのみわと発しますチャ〜チャララチャララ…



少し北上して、にこにこショップへ。



この「にこにこショップ」、実は以前勤めていた職場のマネージャーに教えてもらったところなのだ。さすがマネージャーを務めるだけあって、私の好みを分かっている。

さらに北上してサンメッセ日南へ。



サンメッセ日南は本当にどうしようもなく広大で、この日はどうしようもないくらいカンカン照りで、どうしようかと思った。
県として推進しているのか、宮崎にはそこいらにソテツやヤシの木が植えられている。それがまた、暑さを爆発的に加速させる。

暑さにへばりながら南下していく。
途中で厳かな神社があったので車を停めて中に入ってみた。鍾乳洞の中に神社がある。
凄いなぁ雰囲気あるなぁ。



しっとりと涼しい鍾乳洞。なんとなく体に違和感がして、パシャパシャ写真を撮って駆け足で外へ出た。
出た途端に激しい腹痛に見舞われた。いててて〜〜!!



まぁ正体は生理痛だ。3ヶ月に1回くらい、こんな風な激痛に見舞われる。何か大病じゃないかと思って以前一通り検査したけど何もなかった。一旦この状態になると何もできない。

オカルトは信じたくない。たまに寺社仏閣に行ったあと体調が悪くなることがあって、そうでなくても体調が悪くなるのでやっぱり信じたくない。でも今回タイミングの良さとあまりの激痛に、ふらっと訪れてゴメンナサイ〜と神社に向かって謝った。
そうして車のシートを倒して、30分ほど脂汗を流しながらウンウン唸り転がっていた。

コンコン

窓を叩く音がして、ハッとして飛び上がる。外に女の子が立っている。窓ガラスを開けると、
「大丈夫ですか?これ…」
と水と氷を渡された。そこのコンビニで買ってきてくれたらしい。

「すみません急にお腹いたくなっちゃって…たぶん生理痛なんです。しばらく横になってたら治ると思うんですけど…ほんとすみません、お金払います…」
お金を払おうとフラフラと財布を手にしたら

「いいです!もう行くんで。熱中症とか多いんで、気をつけてください」
そう言ってヒュッとどっか行ってしまった。

女の子からもらった水を飲んでまた倒れこんだ。

しばらくしてきたら、ようやく痛みが引いてきた。何もなかったみたいに、体が軽い。いつもこんな感じだ。

ああ、それにしてもと思う。さっきの女の子は本当に凄いなあ。もし自分が同じ立場で、車内で呻きながらのたうち廻っている人物がいたら、どうするだろう。
水を与えるどころか、怪しい人が居るって通報しかねない。いや、むしろ絶対関わりたくないから見ないふりして立ち去るか。

何だか涙が出そうになった。こんな風に好き勝手してて、人から親切をもらうだけもらって、この旅で誰にも何も恩返し出来ていない。

車を走らせる。どうにか誰かに親切にしたいなあ、と思いながら。もちろんロードサイドには誰も倒れていないし、ひとりで気ままに走っていたら誰かに親切にする機会もない。



岬に向かっていたら、途中で迂回路へ行けという案内板が出てきた。先日の豪雨で土砂崩れが発生しているらしい。遠回りになるけれどしょうがない。
うねうねと山の中を走っていたら、突然視界に極彩色が目に入り、慌てて路肩に車を寄せた。



たまたま出会った宮越さん。3年前から作り始めたそうだが、どの作品も溢れるセンスでキラキラと輝いていた。キャラクター物を愛しく作り上げるのも凄いけど、本当に凄いのは家にある仏像だった。



何も専門的な勉強をしておらず、ただインスピレーションに従って彫ったという。正真正銘の天才だ。

「宮越さん、本当にすごい。才能がないと作れないですよ」
「なあにふざけたこと言ってぇ…そんなの初めて言われたよ」

そう言って照れながら、宮越さんは自分の作品をどんどんどんどん見せてくれた。
「娘がいるけど、お父さんまた変なもの作って、って言うんだよねぇ」

今度記事書いて送りますと約束して、お別れした。



都井岬へ行く。ここは野生の馬がいると聞いていたので一度見たかったのだ。
走ったり、肉として食われたりする運命にない馬。
何を考えて生きてるのかなあ。



車を走らせながら、宮越さんのことをぼんやり考えていた。あと昨日のピラミッドの夏田さんのことも。夏田さん宮越さん、どちらも写真と一緒に手紙を書こう。きっと喜んでくれる。

でも、この人にもっと喜んでほしいしもっと恩返ししたい。そうするにはどうすれば良いのだろう?

多分だけど宮越さんも夏田さんも、普段そんなに自分の作品を認められることはない。私が話を聞いたことが嬉しくてたまらない感じだった。
山の奥でひとりで作っている系のアーチスト達に沢山出会うけど、その人たちの殆どが、会いに行ったら心から嬉しそうに話をしてくれる。承認欲求なんて言葉があるけど、SNSなどない高齢者にとって、ふと訪れた若者に認められることは、逆にこちらがビックリしてしまうくらい嬉しかったりするのだろう。

認められることの嬉しさ。
孤独なアーチストにとって、別に有名になりたいとか沢山の人に来てほしいとか、そんなことは求めてないかもしれない。
でも例えば新聞に載ったら。本に載ったら。芸術として「認められ」たら。ただただ己の創作活動に没頭してた多くの人が喜んでくれる一つの形じゃないだろうか。

とは言っても私にはそんな力がまだない。新聞にコラムを書いたり、こういうアーチスト達の本を作ったりできる力がほしいな。

途中温泉に入って、大隈半島に移動した。



この日は、以前おとな遠足で知り合ったちょるさんと飲んだ。
飲み屋で、魚と魚とトウモロコシと魚を食べて、お腹がはちきれそうになった。

しかも泊めてもらったりもして、今日はもう親切を浴びるくらい受けて何一つ返せてない一日だった。



どうしたものか。どうしたらいいかね〜 ちょるさんの猫を撫でながら、そう聞いてみたけど分からなかったし猫は可愛いかった。

ちょるさんは翌日仕事で朝がはやいというのに、眠くて眠くてしょうがなくて、私の方が早く布団に入った。本当にひどい旅人である。フーテンの寅さんも呆れるくらいのクズっぷりだ。

寝ているとちょるさんの猫が上に乗っかってきて、久々の生き物の暖かさがまた気もち良くて、押し込まれるみたいにさらに深く眠りに落ちてった。



にこにこショップ500円
サンメッセ日南700円
都井岬代310円
温泉500円
コーヒー代300円
ガソリン代3000円