2016/04/27

【沖縄】廃墟みたいな食堂「のりちゃん」には朝6時から元気なお母の声が響く 【食スポット情報】


再開発が進む農連市場近辺。
「のりちゃん」は、そのエリアの中にある。



ボロボロの木造建築の左端。
暖簾が揺れていたら、「のりちゃん」が営業しているということだ。



営業中、とは言ってもこんな見た目だと流石に心配になってしまう。
引き戸を開けて店のお母さんに話しかけた。

「こんにちは、やってますか?」
「はいはいやってますよー。どうぞ」

大きなリュックを脇に抱えながら中に入る。

のりちゃんは、小さい店だった。




本当に小さい小さい店だった。
カウンター席に座る。と言ってもカウンター席しかなく、その数も4つだけだ。椅子の後ろはすぐ壁で、そのまま背もたれに出来そうでもある。


 

「どこから来たの?」
「大阪からです」
「あらまー、遠いところから。大阪はね、だいぶ昔に……」

沖縄に来て思うのは、皆気さくに話しかけてくれることだ。
そして、そのまま気さくに自分の話へ持っていく。
それは全く不快でなく、優しさと人情に溢れていてホッとする。

全国行脚しているが、こんなにも会う人会う人優しいと感じるのは沖縄が初めてだった。



「何にする?」
「あの…アヒル汁…ってなんですか?」
入り口に書いてある貼り紙を見ながら、そう聞いた。

「あれま!アヒル、食べたことない?
沖縄の人は、疲れた時とか、風邪の時とかにアヒル汁を飲むんよ。アヒルがまるまる入ってるからね。元気出るよ」
「ちょうどいいや、沖縄来てずっと動きっぱなしで疲れてて……それください」
「はいよ」


トン、トン、トン……

何かを刻む音がする。それと同時にフワンと美味しそうな匂いがしてくる。これは、味噌汁のような匂いだけど。
ふいに、点いているテレビの音が遠ざかるような気した。
匂いの記憶から繋がって、ここは沖縄だけど、実家の居間の空気を思い出していた。

「はい、これがアヒル汁だよ」




運ばれてきたものは、どんぶり一杯に色んな具材がごちゃっと入った汁物だった。おそるおそる、口をつける。

「……美味しい」
「そう、良かった。これを食べたら、元気が出るからね」

アヒル汁には、大根と、知らない菜っ葉と、アヒルの肉と、そしてアヒルの臓物が入っていた。

そういえばアヒルの臓物ということは肝臓も入っているのだろうか。アヒルの肝臓、つまりフォアグラだ。
こんな風にフォアグラが汁にじゃぶんと浸かっていると、普段フランス料理だ高級食材だとか言ってるのが滑稽に思えてくる。


「はい、白ご飯食べ」
「おかずも食べ」
「漬物も食べ」
「刺身も」
「お菓子も好きなだけ食べ」

「わーありがとう!もう、お腹いっぱいです」
「じゃあ、珈琲飲み」

そういってお母さんは珈琲を入れてくれた。
フランス料理のフルコースよりも、アヒル汁の定食セットの方が、満たされる気がした。



「この時間じゃなくて、朝来たら市場が賑わってるのにねえ」
「この店は何時からやってるんですか?」
「市場に合わせて6時からだよ」
「早い!!頑張ってますねぇ」

「でも再開発で市場が半分になってしまってねぇ。市場も、前ほどの活気はないね」
「……この店は、再開発に含まれるんですか?」
「勿論。今後は、どうなるか分からないけど。続けるかもしれないし、やめるかもしれない」





「お腹いっぱいになったし、元気もいっぱいになりました。ご馳走様でした。ありがとう」
「はい、また来てね」

ガラガラと引き戸を閉めて、改めて「のりちゃん」の建物を見上げる。



木造建築の見た目はボロボロで、ところどころ崩れているところもある。
また来てね、かあ。やっぱり沖縄の人は優しい。
でも、また来る頃には、どうなっているのだろう?

どうなるかは分からないけど、とりあえず今はこの光景を忘れたくないと思った。
パンパンになったお腹をさすりながら、ひと気のない農連市場を彷徨うように歩いた。









"Nori-chan" is an old greasy spoon in Okinawa. You can enjoy the nostalgic delicious Japanese cuisine.
"김 짱"은 오키나와에있는 오래된 대중 식당이다. 당신은 맛있고 그리운 일본 요리를 즐길 수있다.
“紫菜瓚”是一個古老的飯館吃飯,在沖繩。您可以享受懷舊美味的日本料理。