2015/01/21

【東京】驚異のセルフビルド建築 蟻鱒鳶ル(ありますとんびる)【岡啓輔×新井英 樹のせかい】

昨年の年末、珍建築として有名なクエート大使館を見に行こうと思い三田の聖坂を歩いていたところ、たまたまこんな物件に出くわしたのでした。



▲クエート大使館の斜め前にあるのは…


なにやら不思議な形をしたビル!

遠目に見たときはコンクリ打ちっぱなしの建物だと思っていたそれは、近付くと異形のものでした。窓や入り口だと思われる穴ははぐにゃぐにゃと曲がり、壁面には不規則に突起物がついています。一体、何の目的でここにあるのか全く分かりません。



しかもまだ建設途中のようで、天井には鉄骨が剥き出しになっており、パイプの仮足場だろう物に覆われています。
ニョキニョキと天を指すようなその姿は、この閑静な住宅街である三田に根付いた何か別世界の生き物のようです。


気になってその場でGoogle大先生に聞いたところ、このビル「蟻鱒鳶ル(ありますとんびる)」というらしいです。
こちらのビル、一級建築士の岡啓輔さんという方が作り続けているものなんだそう。素材は殆ど全てホームセンターで揃えているというのだから驚きです。



しかも、その建設開始年月を見ると平成17年…なんと、約10年もこの場所で作り続けているというのです。
長い時間を掛けても、今だ完成形が見えないその様子から「三田のガウディ」と呼ばれているんだとか。

「タモリ倶楽部」や「月曜から夜更かし」でも取り上げられたことがあり、ちまたでは有名なんだそうですね。テレビを見ないので全然知らなかった…


更には、あの金沢21世紀美術館で展示を行ったり、「コンクリワークショップ」なるものも開催しているそうです。なんだそれ面白い!世の中にワークショップは数あると思いますが、かなり前衛的な取り組みをされているようです。参加してみたかった。

一級建築士という素晴らしい職業に就きながら、自由に表現活動を行い、自分の世界を作り続ける。なんとも憧れてしまう境地にいらっしゃいます。



岡啓輔さんは自サイトで、蟻鱒鳶ルをこんな風に紹介されています。

蟻鱒鳶ルは植物のように、ゆっくりゆっくり出来ている小さなビルです。 
ある研究者には「200年以上保つ」と言ってもらえました。 200年!!想像も難しいとても遠い未来です。 「蟻鱒鳶ルを200年残す価値のある建築にする」事は、凡才の僕にとって身震いし、足のすくむ仕事です。
 でも、もう信じているんです。 蟻鱒鳶ルの在る未来を。

〜岡啓輔氏「蟻鱒鳶ル保存会」より〜


この一節を読んだ時、ゾクゾクとしてしまいました。日本が東京が、未来がどんな風になっていくか分かりませんが、蟻鱒鳶ルはそこに居続ける。
今生きて蟻鱒鳶ルを見ている私達は誰一人として居なくなり、勿論作者の岡氏も居なくなるということは確実です。ですが、完成した、もしくは未完成のままかもしれない蟻鱒鳶ルはそこに居続ける。時間と時代の変化を受け続けながら、あるいは自身も変化しながら、そこに居続ける。なんだかこれって、凄いことです。

蟻鱒鳶ルを見上げる。



植物のように、高く高く自由に伸びていくこの建物の未来はどんなのでしょう?全く予想が尽きません。
未来の姿を見れないことは残念ですが、それが楽しみでもあるなぁと勝手に思ってしまいました。

あいにくこの日は不在だったようで、いつかお話伺ってみたいなぁと思いながら、名残惜しくその場所を離れたのでした。



蟻鱒鳶ル(ありますとんびる)
サイト:蟻鱒鳶ル保存会
住所:〒108−0073東京都港区三田4-15-34

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さて、実はこの話を書いた理由は、1/23にとある雑誌が発売されるからです。

私が、好きで好きで好きで好きで堪らない「新井英樹」さんという漫画家さんがいます。
なんと言いますか、匂い立つくらいの人間のリアリズムを追求しながら、絶望と希望を描き続けている方です。その作品達を読むと、心の深い所を激しく揺さぶられて、落ちているんだか浮かんでるんだか良くわからない気持ちになります。
ですがその激しい衝動が、生きる糧になったりするので不思議です。


その新井英樹さんが、なんとこの岡啓輔さんを漫画化するんだそうです!
新井英樹さんの世界と、素晴らしいクリエイターである岡啓輔さんの世界が混ざったら、どんな風になるんでしょうか?
蟻鱒鳶ルの未来のように、予想が出来ません。ですが、絶対に読みたい。

http://big-3.jp/bigsuperior/yokoku/index.html

1/23発売のスペリオール、皆さんもお見逃しないように。