2013/12/02

さよならストリップ 中編

ゆのの最後の舞台は渋谷道頓堀劇場。

実は初日の渋谷には行っていた。でも、もう最後っていうのにいつもどおりのゆのがいて、そのままもう終わりだなんてやっぱり信じられなかった。

大好きな人の最後の踊りがみたい。
その思いだけで、無理して楽日も観にいくことにした。




仕事が終わって新幹線に飛び乗り東京へ向かう。
ギリギリの時間。でも何か渡したいと思って、小さな花束を買って渋谷のラブホ街を走った。着いた時はゆのの前の出番のカレンさん。何とか間に合った。
渋谷道頓堀劇場はもの凄い人だった。通路も人、人、人で溢れて、どこまでがポラの列か立ち見の列か分からないくらいだった。



そうこうしてるうちに、二回転目のゆの演目が始まった。

湾岸830という演目だった。刑務所みたいな所にいるゆの。囚人生活に嫌気がさしたゆのが、夜が更けた後囚人服を脱ぎ捨て自慰をする。そして、持ちこんでいたストリップの衣装に腕を通す。解放されたように踊る。光悦そうなゆのの顔。
そのうち夜が明け、慌てて囚人服に着替えて、ニッコリ笑って終了。

ラスト前にこんな演目を持って来るって凄いなぁ、と私も笑ってしまった。
囚人服って。刑務所って。
ゆのは渋谷道頓堀劇場で逮捕された経験があった。そしてさらに逮捕がキッカケで色々と吹っ切れたと聞いてた。だからこそ、その縁があった渋谷道頓堀劇場でこの演目をしたかったのかな。深読みかもしれないけど、ゆのを捕まえてたのは世間とかそういうものだったのかもしれない。で、最後の笑顔はストリップが好きと吹っ切れたゆの自身だったのかもしれない。


ポラの時間になって、出来たのは長蛇の列だった。後になって周りの人が話してたのが聞こえてきたけど、整理券の番号が200番とか300番とかだったから、もの凄い人だったんだろう。

このポラが、ラストポラだという。
何を言おう。どんな言葉をかけよう。と思いながら並ぶ。



私の番が近くなってきた。
他のお客さんにありがとうって言ってるゆの、泣いてる。その姿を見たら、なんだか私も涙が止まらなくなった。

いろいろ言いたいことがあったけど、結局何も上手い事言えなかった。

お疲れさま、今までありがとう、と言った。
ゆの、大好きだよ、と言った。




この時撮ったツーショットポラの私は、泣きすぎで激ブスだった。





その回のフィナーレの後、引退のイベントがあった。
ファン代表の方が挨拶する。

どれだけ沢山の男があなたに恋をしたか
どれだけ沢山の人に元気を与えたか

ということを言っていた。
そっか、私も、ゆのを追いかけていた気持ちは、ある種の恋だったのかもなと思った。
オープンショーは何処の劇場でも聞いたことないようなファイヤーの声が響き、もの凄い盛り上がりようだった。




外に出てボンヤリしてた。
そこにはゆのを追っかけてる人が沢山いて、リボンやクラッカーや色紙を沢山準備してた。ゆのはこんなに愛されてて凄いなあと単純に思った。
あと、私は一人で来てたので、なんだか仲良さそうなファンの方々がちょっぴり羨ましかった。隅に座って眺めてたら、不憫に思ったのかファンの内一人が声をかけてくれた。で、それとは違う人がガリガリ君をくれた。
ストリップファンは優しい。


劇場内に戻ろうとしたけど、凄い人で全然入れそうになかった。なんとか滑りこんだけど、ほんとにラッシュ時の満員電車並の人だった。隙間からかろうじて舞台が観れる所を見つけて、背伸びして立った。



いよいよ三回転目、ゆのラストダンスが始まる。



さよならストリップ 後編